日本ではさまざまな業界・分野においてDX化への取り組みが進められており、多くの企業がシステム導入などを行っています。しかしその全ての企業が成果を上げられているわけではなく、多くの課題も抱えています。ここでは日本におけるDX推進の現状や課題を紹介します。
一般社団法人日本能率協会が発表した「日本企業の経営課題2021・調査結果第3弾」によると、DXに取り組んでいる企業は全体で45.3%と前年よりも大幅に増加していると報告されています。その内訳としては大企業で6割超・中堅企業で45.0%・中小企業で27.7%という結果になっており、規模の大きな企業の方がより多く取り組んでいる現状となっています。しかしながらそれでも全体で過半数を超えるまでには至っておらず、まだまだDXへの取り組みは浸透しきっていない状況です。
さらにDXに取り組んでいると回答した企業に対して「DXで重視していることは何か?」を質問したところ、最も多かったのは「既存の商品・サービス・事業の付加価値向上」となっており、全体の91.4%が回答しています。他にも「営業・マーケティングプロセスの効率化・高度化」「生産プロセスの効率化・高度化」「人材・組織マネジメントの効率化・高度化」が80%を上回っているなど、ただ導入するだけではなく高い効果を期待して取り組む企業がほとんどとなっています。
参照:一般社団法人日本能率協会|『日本企業の経営課題 2021』 調査結果速報 【第3弾】(https://jma-news.com/wp-content/uploads/2021/09/20210922keieikadai_No3DX_0921.pdf)
DX化に取り組む企業はさまざまな目的がありますが、本来DXは会社全体を巻き込んだうえで中長期的に進めていく必要があります。そのためには実際に業務を実行する現場だけでなく経営陣も含めた全体で同じ方向を向く必要があり、戦略やビジョン・ロードマップを策定し着実に実行を推し進めていかなければいけません。しかし「DX」という言葉だけが広く知れ渡ってしまった現在においては「やらなければいけないからとりあえず取り組む」という意識を持つ経営層がいるのも現実的な課題として挙げられています。DX化はいざ問題やトラブルが生じてから取り組んでも遅いので、その必要性をしっかりと理解し早期に着手する必要があります。
DX化がなかなかな進まない背景・課題の一つに人材面における問題があります。日本ではいまだに年功序列の制度や風潮が根強く残っており、向上心を持たずとも勤続年数を重ねることで一定の収入・ポジションを得ることができる環境があります。そうなると人材が自ら成長に向けて取り組むことがありませんので、時代の流れに合わせて知識をアップデートしたりすることもありません。DXを実行するためにはただデジタル関連の技術や知識が豊富なだけの人材ではなく、「DX人材」と呼ばれる人材が求められます。AIやIoT関連の技術・知識をただ持っているだけではなく、改革を起こすマインドや素養があって初めて「DX人材」と呼ぶことができます。しかしこういった人材が世の中に豊富にいるわけではありませんので、この点もDX推進における大きな課題となっています。
過去から使い続けている古いシステム、いわゆる「レガシーシステム」を利用している企業においては、システムそのものの老朽化や内容の複雑化、ブラックスボックス化が発生している可能性があります。約8割以上の企業が老朽システムを抱えているともいわれており、DXを推し進めるためにはこの設備・システムの更新や入替も必要になってきます。しかしもちろんそういった取り組みを行うためには多くの設備投資資金が必要となりますが、既存システムの維持・運用に一定のコストをかけている企業が多く、新たなシステムに回せる余裕資金が手元に残っていないなどシステムの刷新に関する課題も抱えている状況です。
DXを推進するためには既存の社内リソースだけでは対応しきれないという企業が多いのではないかと思いますが、そういった場合には対応できる能力やノウハウを持っている人材を採用するという方法が考えられます。DX人材は先にも説明した通り、AIやIoTに関する技術や知識を持ち合わせていることに加え、変革に向けたマインドや素養も持っている必要があります。そのためそういった人材を採用することができれば、社内におけるDX関連のプロジェクトを一気に推し進めることができるでしょう。
DX化は全社で取り組む必要がありますので、経営陣と現場の目線を合わせたうえで社内における連携・体制を整えなければいけません。関係者すべてに対して取り組む意義やメリットを理解してもらい、それぞれが役割をきちんと果たすように推し進めていくことが重要です。「何を目的にDX化に取り組むのか」「どういった状態を実現したいのか」「そのためにどの程度の予算設定ができるのか」など、DXを進めるうえにおいてのさまざまな経営的意思決定は、しっかりとコンセンサスを取りながら行っていきましょう。
自分たちの会社のことは自分たちで決めて実行していくのがベストであることは言うまでもありませんが、中には対応リソースも無く人材採用もうまくいかないという企業も少なくないでしょう。そういった場合には時間効率や採用・教育関連コストの効率なども勘案し、専門的な外部業者に依頼するというのも一つの方法です。社内に対してプロジェクトの意義やメリットをどう説明するかといったの入口対応から、実際に何をどうするのかという導入・運用などさまざまな場面において相談しながらプロ目線での助言・提言を受けることが可能です。
今後DX化を進めていくためにはここで紹介したようなさまざまな課題を解決する必要があります。もちろん社内リソースで解決できるのであればベストかもしれませんが、対応リソースが不足している場合にはアウトソーシングにより補うという方法も効果的です。
DX企画や戦略立案を机上で示すだけでなく、プロジェクトの一員として機動的にサポートするのが中堅コンサル会社の特徴です。ここでは目的別に数多くの企業に実績があるDX中堅コンサル会社を厳選してご紹介します。
新規事業のアイデア創出、現場へのアプローチ、DXの自走化支援など、組織変革のきっかけを作りたい企業
アプリケーションや業務管理ツールなど業務のデジタル化を起点とするDXを推進したい企業
勘定系システム、クラウドサービスなど業務の根幹となるシステム開発・更改を起点とするDXをしたい企業
【このサイトに掲載する企業の選出基準】
2022年7月12日時点、「DX 業務改善」とGoogle検索して表示されたコンサルティングファーム、SIer(システムインテグレーター)のうち、公式HPにDXで業務改善をした事例が公開されている企業27社を選出。
【3選の選定基準】
戦略提案から実行支援まで一気通貫型でDXの推進を支援する企業の中から、以下の条件で3社を選びました。
ベルテクス・パートナーズ(総合系コンサル)…支援先企業(東証プライム市場上場)がDX認定事業者取得した実績があり、成果を継続的に生み出す(自走化・内製化)組織改革をサポートしている。
RIT(IT系コンサル)…どの領域からデジタル化を進めていくべきか診断し、DX推進度診断サービス資料を無料ダウンロードできる。
FPTソフトウェアジャパン(システム系コンサル)…CMMIレベル5、ISO9001:2015、ISO27001:2013など国際基準に則ったシステム開発ができる