国民資産の20%を占める不動産。不動産業界は、国民生活において重要な基幹産業です。市場規模は、2016年の業界全体の売上高が42兆9,824億円、2021年が44兆3,182億円でした。5年間で1.5兆円増。5年スパンで見ると、市場規模は増加しているように見えます。しかし、直近の不動産市場は縮小傾向です。2018年の市場規模は46兆5,363億円でした。2019年以降の売上は、減少傾向です。感染症の影響で、東京からの人口流出が懸念されていましたが、2023年現在、不動産需要に大きく影響するほどの動きはありません。
不動産市場を検証するときに重要な指標とされているのが、新築住宅の着工件数です。2009年は775,000戸でしたが2018年は953,000戸と10年間で少しずつ上昇してきました。マイナス金利導入により住宅ローンの金利が低くなったことが要因と考えられています。しかし、2019年は884,000戸、そして2020年は812,000戸と大きく減少。2021年には866,000戸にわずかな上昇がみられるものの、まだ2018年の水準には戻っていません。
原因として、感染症の影響で事業が行えない時期があったこと、それに伴う景気の悪化、2021年に発生したアメリカでの在宅ワーク対応のリフォームニーズ急騰による木材の品薄、2022年ロシアのウクライナ侵攻による木材不足といった、複数の要因が絡んでいるとされています。しかし、感染症により緊急事態宣言1回目が実施されたのは2020年4月。大きく落ち込んだのはその影響がない2019年であることから、新築住宅のニーズそのものが減少傾向であると考えるのが妥当です。
不動産業界は、開発や賃貸、売買などの分野に分かれています。しかし、「物件・顧客の管理」「書類手続き」「内見対応」など、ある程度流れが定型化されている業務が多いのが共通点です。
また、宅建業法改正により2022年5月から電子契約が解禁されました。宅建士による押印が廃止され、重要事項説明書や媒介・代理契約締結時の交付書面、レインズ登録時の交付書類、契約締結時の交付書類の電子交付が可能になっています。つまり、宅建士のリモートワークが可能になったということです。それに先立って、オンライン会議システムを利用した重要事項説明(IT重説)は2021年からスタートしていました。
不動産業界は政府主導でのIT化が進んでいる業界であり、DXを取り入れると業務効率化の成果が見えやすく、利益率アップに直結します。
顧客側のデジタル化へのニーズも高まり、オンライン内見が急速に進んでいます。顧客情報と連動した活用をしやすくDXを導入しやすい分野です。
不動産という「高価なモノ」を取り扱う業界であることから、デジタル化が遅れていた不動産業界ですが、ニーズが減少し不動産業者が増えている現状において、DXは生き残りをかけた必須事項と言えます。
DXで業務改善に至るまで伴走する
中堅コンサル会社、SIer3選
従来手作業で入力していた契約書類や請求書、経費精算書などを基幹システム刷新でフルクラウド化。決済システムと会計システムも統合し、経費精算の自動化も実現しました。これにより、受発注・会計業務において35%の業務削減に成功しています。多重入力などのミスも減少しました。
住宅展示場などのリアルイベントにアプリを導入した事例。アプリで来場者の予約手続きや入場者の集計、会場実施セミナー予約などの手続きを一元化しました。予想を上回る多数の来場者が参加されてもスムーズに処理でき、イベントは成功しています。日常業務でも、ポータルサイトへの物件情報出稿を自動化。顧客管理システムも導入し、非対面の接客が可能になりました。
人との接触機会が多いモデルハウス・住宅展示場・不動産会社への店舗訪問を控える傾向から、バーチャル展示場を導入。自宅のPCやスマホから展示場が見学できるシステムで、時間や回数の制限がなく、マイペースに展示を見られます。業務効率化はもちろん、顧客の体験性が向上し、契約数が急増しました。展示場運営における建設コストや固定資産税の削減にもつながっています。
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