アパレル業界は、2021年から2022年にかけて、業界規模は5.6兆円アップ、成長率は-3.1%、利益率は-1.5%という結果が出ています。新型コロナウイルスの感染症対策の緊急事態宣言が発令されたことで、実店舗の売り上げは大きな影響を受けましたが、アパレル業界全体ではEC市場が拡大傾向となりました。
とはいえ、国内の百貨店やショッピングセンターの衣類品販売は低迷が続いており、カジュアル化が進む中で新型コロナウイルスによる影響を受け、大手企業が運営する店舗の閉店やブランドの廃止なども発生しています。反対に、機能性の高いアウトドアやスポーツ向けの衣料品、ファストファッションなどは人気が高まり、高い業績を維持しています。
では消費はどうかというと、長引くデフレによって国内消費は年々減少の一途をたどっている状態です。これから日本は少子高齢化や人口減少が見込まれており、伸びは期待しにくいでしょう。そのため、アパレル業界で独走状態であるファーストリテイリングのように、アジア・欧州・北米などに目を向け、海外展開を加速させていく必要があります。
アパレル業界は、個人の販売スキルに依存してきた歴史や、顧客視点ではなく業界発信を前提とした土壌、サイズ感や素材感に対する顧客の不安などから、なかなかDXが推進されてきませんでした。しかしアパレル業界でも、海外進出のために、そして拡大しているEC市場に力を入れていくためにも、DX推進が課題となっています。
DXによって在庫や人員データの管理が効率化されれば、データを本部・他店舗と容易に共有することができ、より効率よく管理が行えるでしょう。在庫移動の自動反映が可能なツールであれば、事務作業の省力化にもつながります。
また店舗運営そのものをDX化できれば、少人数での店舗運営が可能です。人手不足対策にもなり、その分新たな戦略を成功させるために人材が投入できるでしょう。さらに顧客がオンラインで商品を購入する際、DXによって体型に合うサイズを提案することで、オンラインでの購入のハードルを下げるという効果も期待できます。
DXで業務改善に至るまで伴走する
中堅コンサル会社、SIer3選
試着ができないというオンライン販売のデメリットを解消するために、AIを活用したデジタル採寸を導入。蓄積した膨大なデータをもとに精度の高い計測を可能としたAI技術により、オンライン販売の課題となりやすい返品問題も解消しました。
リアル展示会やファッションショーをデジタル展示会・ファッションショーに切り替えることで、いつでもどこでも楽しめるようになり、ブランドを多くの人に広くアピールできるようになりました。また観客は着用している衣装情報をリアルタイムで確認でき、お気に入りのものには「いいね!」と投票ができ、その投票の結果を生産量の決定に役立てることでより無駄のない生産が行えます。
アパレルは服などを販売するビジネスモデルであることから、実店舗での販売が主流とされてきました。しかしECサイトの登場などによりその常識は大きく変わりつつあり、身長や体重を入力すると自分の身体にあう商品をおすすめしてくれるプラットフォームなども登場しています。オンライン購入では試着ができないためサイズが分かりづらい、という課題を解消するとともに、生産データや分析データとの連携・可視化など付随する業務のDX化も実現されています。現在ではこういったサービスがスマホアプリでも提供されており、誰でも利用できるようになりつつあります。
アパレル業界でも早期からDXに着目をしていた企業があり、今までは製造小売業として事業運営を行っていたものの「情報製造小売業」へと成長を遂げています。今までは洋服のデザインや設計、生地の調達・縫製をして転倒に商品を並べるまでの製造小売業でしたが、ここに情報の要素を組み入れることで消費者ニーズに合ったデザイン設計が可能となり、他の業務効率化も相まっていち早くトレンドの服を消費者に届けることが可能になりました。
高級アパレルブランドでは、今まで業界に無かった新たな着眼点でファッションショーのDX化に取り組んでいます。従来、ファッションショーの参加者は招待客に限定されていましたが、SNSでファッションショーを配信することにより関心のある消費者に対して広く認知を求めることができるようになりました。さらにランウェイを歩くモデルの服に小型の装置を取り付けることにより、視聴者が服の情報を得られるような仕組みも構築されており、「いいね」ボタンによる評価機能も含めターゲットからの反応をリアルタイムに獲得できるようになっています。集めた情報は次の商品開発にも活かされるなど、ユーザーのニーズにフィットした商品開発・展開ができる環境が整えられています。
アプリでポイントカードの電子化に取り組まれた企業の事例では、導入により顧客属性の把握などができるようになりました。ダウンロード数やクーポン使用数もデジタルで確認することができ、どの広告宣伝や販売促進活動が効果的だったかの検証を行うことが可能になっています。店舗ではとにかくアプリの存在を告知することに注力し、ダウンロードによってクーポンが取得できるインセンティブも付けて普及に努めています。また、SNSでもアプリの宣伝を行うなど、さまざまな方法でユーザーにダウンロードしてもらうよう取り組んでいます。
DX企画や戦略立案を机上で示すだけでなく、プロジェクトの一員として機動的にサポートするのが中堅コンサル会社の特徴です。ここでは目的別に数多くの企業に実績があるDX中堅コンサル会社を厳選してご紹介します。
新規事業のアイデア創出、現場へのアプローチ、DXの自走化支援など、組織変革のきっかけを作りたい企業
アプリケーションや業務管理ツールなど業務のデジタル化を起点とするDXを推進したい企業
勘定系システム、クラウドサービスなど業務の根幹となるシステム開発・更改を起点とするDXをしたい企業
【このサイトに掲載する企業の選出基準】
2022年7月12日時点、「DX 業務改善」とGoogle検索して表示されたコンサルティングファーム、SIer(システムインテグレーター)のうち、公式HPにDXで業務改善をした事例が公開されている企業27社を選出。
【3選の選定基準】
戦略提案から実行支援まで一気通貫型でDXの推進を支援する企業の中から、以下の条件で3社を選びました。
ベルテクス・パートナーズ(総合系コンサル)…支援先企業(東証プライム市場上場)がDX認定事業者取得した実績があり、成果を継続的に生み出す(自走化・内製化)組織改革をサポートしている。
RIT(IT系コンサル)…どの領域からデジタル化を進めていくべきか診断し、DX推進度診断サービス資料を無料ダウンロードできる。
FPTソフトウェアジャパン(システム系コンサル)…CMMIレベル5、ISO9001:2015、ISO27001:2013など国際基準に則ったシステム開発ができる