矢野経済研究所がまとめた2021年度の物流17業種市場に関する調査によると、2020年度が20兆405億円だったのに対し、2021年度の総市場規模は前年度比7.7%増の21兆5810億円と見込んでいます。
これはEC市場の拡大により宅配便や軽貨物輸送が堅調で、産業向け物流についても2020年度よりも回復するとしているためです。ただし売上高ベースの数字なので輸送運賃の高騰に影響されておりまだ安心できる状況にはありません。
物流業界が慢性的に抱える課題として人的リソースの不足があります。
コロナ禍による巣ごもり需要でEC市場が拡大しましたが小口配送増加に人材不足も含め物流体制が追いつかない状況になっています。
これまでの物流業界はBtoBの大口配送が主流でしたが、小口配送件数の増加と多頻度化、即時性重視のEC市場拡大の流れに対応できず業務の非効率化を生んでいます。
今後もこの流れは続くと考えられるため、業務効率化が急がれる状況です。
国土交通省の「最近の物流政策について(2021年1月22日)」によると新型コロナ流行の拡大によるEC市場の急成長や新しい生活様式、物流の社会的価値の再認識はこれまで進捗しなかった物流のデジタル化や構造改革促進の好機と捉えています。
それに対し、今後取り組むべき施策として、手続き書面の電子化や物流施設へのロボット導入などによる自動化・機械化、物流の標準化整備、物流DXを推進する人材の育成・確保などを挙げています。
これは物流のDX推進そのものであり、物流業界全体を変革する取り組みと言えます。
物流業界は一部の大手企業を除き、在庫管理や入出荷管理などのシステム化が進んでいません。物流管理システム導入と輸送・配送ルートの最適化は最優先されます。
それに加え、ロボットやAI技術を活用した検品や搬送、ドローンなどの新しい配送手段の導入も検討が必要です。こうした機械化・自動化を進めることで非接触・非対面型の物流システムが完成し、人手不足解消にもつながります。
このサイトでは、そういった物流業界の企業が抱えている課題をDXで支援するコンサル会社、SIerを紹介しています。
TOPページでは「DXに取り組んでいるが現場に浸透しない」「成果の振り返りができておらずPDCAを回せていない」などの課題がある企業のDX推進部門の担当者向けに、DX で業務改善に至るまで伴走する中堅コンサル会社、SIerを紹介していますので、参考にしてください。
DXで業務改善に至るまで伴走する
中堅コンサル会社、SIer3選
佐川急便も含むSGホールディングスグループ・佐川グローバルロジスティクスでは東松山の配送センターに次世代型ロボットソーターとRFIDシステムを導入することで、大幅な生産性アップにつなげることに成功しました。
繁閑に応じてロボット台数を変更できるソーター導入によりヒューマンエラーによる誤発送を無くして作業人員を27%削減。またRFIDシステムは1時間あたりの人による仕分け作業と比べて出荷作業は1.32倍、返品作業は4.43倍の生産性向上を実現しました。
熊本県において運送業などを手がけているヒサノでは、「横便箋システム」と呼ばれる受発注システムの導入を行っています。同社では、これまで横便箋と呼ばれる紙を使って配車情報の管理を行っていました。このことから、繁忙期には管理が煩雑になっていたことなどさまざまな課題を抱えていました。
システムの導入により、配車をスピーディーに行えるようになった点、また担当者同士でもスムーズに情報共有が行えるようになったといったメリットが得られました。
海上運送業をはじめとする総合物流事業を展開する日本郵船株式会社では、運行スケジュール策定支援システムの導入によって、自動車専用線の運行スケジュールを割り出すためのさまざまな課題解決に取り組んでいます。
こちらのシステムでは、各船舶の運行データを収集できる社内システムと連携。寄港地などの条件指定により数十万通りのシミュレーションを実施し、より良い航行スケジュールの提示を行います。
その結果、スピーディーな意思決定が可能になることに加えてノウハウの継承にも役立てられるというメリットがあるほか、温室効果ガス排出を小さくするスケジュールの策定も行えるようになります。
倉庫業とトラック運送業を手がけるシーエックスカーゴでは、クラウド型の物流容器在庫管理システムを導入しています。こちらの企業では、全国にある拠点で種類が混在しているパレットを一元管理する、またこれまで使用していた管理システムをまとめたいといった目的からシステムを導入しています。
システムの導入により管理システムをまとめられパレットの在庫管理負荷が低減したこと、さらにパレットの流れをリアルタイムで把握可能になったため帳簿上と実在庫の差異の発生減少にもつながりました。 また、自社パレットとレンタルパレットをいつ・何枚使用するかも把握でき、余計なレンタルパレットの投入を防ぐことによるコスト削減にも役立てられています。
スーパーレックスでは、配車計画作成用クラウドサービスの導入を行っています。同社では、配送店舗が増減した際に固定ルートの変更に丸二日かかっていたという課題、また土地勘や経験がないと引き継ぎが難しいといった課題を解決するためにシステムを導入しています。
こちらのシステム導入により、丸二日かかっていた手配車決定作業を数時間で行えるようになったこと、また配車業務が標準化できたことによって引き継ぎ作業をスムーズに行えるようになったなどさまざまなメリットが得られています。
DX企画や戦略立案を机上で示すだけでなく、プロジェクトの一員として機動的にサポートするのが中堅コンサル会社の特徴です。ここでは目的別に数多くの企業に実績があるDX中堅コンサル会社を厳選してご紹介します。
新規事業のアイデア創出、現場へのアプローチ、DXの自走化支援など、組織変革のきっかけを作りたい企業
アプリケーションや業務管理ツールなど業務のデジタル化を起点とするDXを推進したい企業
勘定系システム、クラウドサービスなど業務の根幹となるシステム開発・更改を起点とするDXをしたい企業
【このサイトに掲載する企業の選出基準】
2022年7月12日時点、「DX 業務改善」とGoogle検索して表示されたコンサルティングファーム、SIer(システムインテグレーター)のうち、公式HPにDXで業務改善をした事例が公開されている企業27社を選出。
【3選の選定基準】
戦略提案から実行支援まで一気通貫型でDXの推進を支援する企業の中から、以下の条件で3社を選びました。
ベルテクス・パートナーズ(総合系コンサル)…支援先企業(東証プライム市場上場)がDX認定事業者取得した実績があり、成果を継続的に生み出す(自走化・内製化)組織改革をサポートしている。
RIT(IT系コンサル)…どの領域からデジタル化を進めていくべきか診断し、DX推進度診断サービス資料を無料ダウンロードできる。
FPTソフトウェアジャパン(システム系コンサル)…CMMIレベル5、ISO9001:2015、ISO27001:2013など国際基準に則ったシステム開発ができる