新型コロナ感染拡大の影響によりホテル・旅行業界は大きな打撃を受けました。日本生産性本部のレジャー白書2021によれば2020年の市場規模は国内のホテルが8320億円、旅館が7000億円でいずれも前年から半減しています。
2022年GWは3年ぶりに行動制限がなく、全国平均のホテル稼働率は59.9%と明るい兆しも見えています。しかし未だ収束が見えない新型コロナ感染の状況により、ホテル・旅行業界では人員増加ができず経営が厳しい状況は続いています。
少子高齢化により他業界でも人材確保が難しくなると予想される中で、深夜残業や長時間労働など過酷な労働環境になりやすいホテル・旅行業界は、今後新型コロナが収束に向かったとしても人手不足が解消できない可能性もあります。
スマートフォンの普及により、利用者側で宿泊や旅行の方法も変化しており、ホテル・旅行業界としても人材確保と合わせて新たな対応を検討する時期に来ています。その解決方法として注目できるのがDX推進なのです。
DX推進はホテル・旅行業界の人手不足解消や労働生産性向上に大きく貢献します。従来は紙で行っていた業務をデジタル技術でペーパーレス化するだけでなく、複数の管理システムと連携することで業務効率化が可能になるからです。
例えば、次世代型ホテルを目指すアパホテルでは、利用時の「予約」「チェックイン」「チェックアウト」において非接触」「待たない」「並ばない」を実現するアパトリプルワンシステムを提供し人手不足や労働環境改善につなげています。
スマートフォンが当たり前の若い世代や海外観光客は、こうした予約やフロント業務はデジタル化しているのが標準と考えています。アナログのままで利用客が不便を感じるようなことがあればサービス低下をももたらします。
もちろんDXはすべてをデジタル化するわけではありません。システムに任せた分は人だからできるサービスに充てることができます。そうしたDXによる「おもてなし」部分を強化することが同業者との差別化につながるのです。
このサイトでは、そういったホテル・旅行業界の企業が抱えている課題をDXで支援するコンサル会社、SIerを紹介しています。
TOPページでは「DXに取り組んでいるが現場に浸透しない」「成果の振り返りができておらずPDCAを回せていない」などの課題がある企業のDX推進部門の担当者向けに、DX で業務改善に至るまで伴走する中堅コンサル会社、SIerを紹介していますので、参考にしてください。
DXで業務改善に至るまで伴走する
中堅コンサル会社、SIer3選
神奈川県の鶴巻温泉にある老舗旅館「陣屋」は2009年まで10億円の負債を抱え倒産寸前まで追い込まれていました。そこから3年で黒字転換を実現できたのは「情報の見える化」を可能にする基幹システムの導入でした。
クラウドを活用した「陣屋コネクト」を自社開発し、それが業務効率化につながり、従業員の週休3日を実現。現在では「陣屋コネクト」を外販するグループ会社を立ち上げ、6年で年商2億円になるまで成長しています。
Hilton Worldwide Holdings Inc.におけるVRを活用した事例をご紹介します。同ホテルではVRの導入により、宿泊前にホテル内を疑似体験して宿泊を検討してもらうといったサービスを提供しています。VRを宿泊の検討材料として使用してもらうほかにも、結婚式において360度動画とVRを活用。当日出席できなかった家族や友人も思い出を作れるサービスの提供も実施しています。
さらに、従業員向けの研修にもVRを活用している点も同ホテルの特徴です。具体的に、ルームサービスやハウスキーピング、フロントデスクの業務をVRで学ぶことができます。VRを利用することによって、リアルな体験を通じた研修が可能となるといったメリットなどが得られています。
基幹システムの導入を用いた業務効率化を行った「陣屋」では、IoTとAIを導入することによってお客さまの車のナンバープレートを認識して顧客データを呼び出してチェックイン時に役立てるといった取り組みも行っています。この取り組みでは、駐車場入り口にカメラを設置しておき、お客さまの車のナンバープレートを認識。そのナンバーがリピーターと特定された場合には社内SNSに投稿されるとともにスタッフにも通知を行います。通知を受けたスタッフは、その情報を踏まえた接客を行うことが可能になります。
そのほか、大浴場に温度センサーと人感センサーの設置を行うことによって湯温・水位・入浴人数を自動測定。温度調整と清掃頻度に役立てるといった取り組みを行うことによって顧客満足度の向上を目指しています。
中国のIT企業であるアリババ社がプロデュースするFly Zoo Hotelで導入する無人サービスについて紹介します。例えば、スマートフォンアプリまたはホテルに設置された機器を使用したチェックインや、ロボットによる宿泊部屋までの案内などを提供。さらに、部屋のドアを開けるときにも物理的な鍵を使用しなくても、顔認証の情報で照合を行って開錠が行われます。この時の顔認証の情報はチェックイン時に記録されます。
また、スマートフォンのアプリを使用することによってチェックアウトの手続きと支払いを行えるようになっています。
HISが運営する「変なホテル」では、利用客に快適に過ごしてもらうためロボットなどの技術を導入しています。同ホテルのフロントにはロボットが設置されており非対面でのチェックインが可能な点、また宿泊部屋には人型ロボットによってホテルの利用案内や周辺状況の案内などを行うほか、人型ロボットとのコミュニケーションも楽しめるようになっています。
また、自動クリーニング装置や温度調整布団コンディショナーの設置などさまざまな取り組みを行っています。このようにロボットを導入することによって人が常に表にいる必要のない仕組みづくりにつなげられている点が特徴といえるでしょう。
DX企画や戦略立案を机上で示すだけでなく、プロジェクトの一員として機動的にサポートするのが中堅コンサル会社の特徴です。ここでは目的別に数多くの企業に実績があるDX中堅コンサル会社を厳選してご紹介します。
新規事業のアイデア創出、現場へのアプローチ、DXの自走化支援など、組織変革のきっかけを作りたい企業
アプリケーションや業務管理ツールなど業務のデジタル化を起点とするDXを推進したい企業
勘定系システム、クラウドサービスなど業務の根幹となるシステム開発・更改を起点とするDXをしたい企業
【このサイトに掲載する企業の選出基準】
2022年7月12日時点、「DX 業務改善」とGoogle検索して表示されたコンサルティングファーム、SIer(システムインテグレーター)のうち、公式HPにDXで業務改善をした事例が公開されている企業27社を選出。
【3選の選定基準】
戦略提案から実行支援まで一気通貫型でDXの推進を支援する企業の中から、以下の条件で3社を選びました。
ベルテクス・パートナーズ(総合系コンサル)…支援先企業(東証プライム市場上場)がDX認定事業者取得した実績があり、成果を継続的に生み出す(自走化・内製化)組織改革をサポートしている。
RIT(IT系コンサル)…どの領域からデジタル化を進めていくべきか診断し、DX推進度診断サービス資料を無料ダウンロードできる。
FPTソフトウェアジャパン(システム系コンサル)…CMMIレベル5、ISO9001:2015、ISO27001:2013など国際基準に則ったシステム開発ができる